サスペンションってどんなしくみ?
バイクのサスペンションは、路面からの衝撃を和らげたり、タイヤの接地を安定させたりするための重要なパーツです。構造としては主に「スプリング」と「ダンパー(減衰装置)」で成り立っています。スプリングは車体の沈み込みや跳ね返りを受け持ち、ダンパーはその動きのスピードを抑えてくれます。これによって、ガタガタ道でも過度に跳ねたりせず、安定した走行が可能になります。
フロントは主にフォーク部分にあり、ハンドリングやブレーキ時の姿勢制御に大きく関わります。一方、リアサスペンションは後輪の動きと車体全体のバランスを受け持っており、荷重がかかりやすい後部を支える役割が強くなります。乗り心地や安定感は、この両者の連携によって大きく左右されるため、どちらも調整が重要です。
近年では、標準で調整機能が付いているバイクも増えてきました。自分の体格や走行スタイルに合わせて細かくセッティングできるようになると、乗り味がまるで変わって感じられることもあります。
基本のセッティング手順を知っておこう
セッティングの第一歩は「プリロード調整」、つまりスプリングの初期荷重の設定です。ここで重要になるのが「サグ」と呼ばれる沈み込み量。ライダーが乗った状態で30〜35mmがひとつの目安です。調整にはレンチを使ってスプリングの締め込み具合を変えていきます。
次に見直したいのがダンパー、つまり減衰力の調整です。ダンパーには「伸び側(リバウンド)」と「縮み側(コンプレッション)」があり、それぞれのダイヤルで硬さを設定できます。街乗りであればややソフトに、高速走行やスポーツライディングでは硬めに設定することが多いです。
いきなり大きく変えるのではなく、1〜2クリックずつ段階的に調整して、その都度テスト走行で感触を確かめるのがコツです。フロントとリアのセッティングは連動して影響が出るため、片方だけで判断せずに全体のバランスを見る視点も必要です。
セッティングの落とし穴に気をつけよう
サスペンションの調整は、自分の好みに合わせていける楽しさもある反面、注意しておきたいポイントもあります。たとえば、やみくもに硬くすると「操作しやすくなった」と感じる場面もありますが、実際には路面追従性が下がり、コーナーで跳ねやすくなるかもしれません。
また、プリロードを強くしすぎるとサグが不足し、サスペンションのストロークが十分に使えなくなります。結果として段差での突き上げが強くなり、乗り心地が悪化。逆に柔らかすぎてもバイクがふわふわして安定しなくなるため、やり過ぎは禁物です。
さらに注意したいのが「自分に合ったセッティングは、他人には合わない」点です。体重や乗り方、タイヤの種類によって適した設定は変わります。マニュアルの基本設定を参考にしつつ、自分の走りに合ったバランスを見つける姿勢が大切です。